投資と哲学

Re:損から始まる投資生活

米国株を始めるなら今が絶好の機会である理由

トランプ大統領による中国への新たな関税を課すという内容のツイートと為替操作国認定、それに対しての中国側の反撃に端を発し、先日からNYダウの大きな下落が起こった。

f:id:mikiy666:20190806112517p:plain

たった数日で6%もの下落

その数日前のFOMCで発表された利下げが0.25pだったことと、その直後のFRBパウエル議長の余計な一言により米国の株価はやや下落していたが、今回のトランプ大統領の余計な一言で株価にトドメを刺した形だ。

米国と中国というGDP第1位と2位の国の貿易摩擦は世界経済に大きな影響を与えており、この発言で世界中の株価は大きく下落した。

当事者よりむしろ日経平均のダメージの方が大きいというのは笑えない話だ。

mymedia.hatenablog.jp

 

今回の株価下落は暴落とは言わない

現在、最高値から6%程の下落で今年最も大きい下落幅となっているが、どこまで株価は下落するだろうか。

個人的な見解では米中貿易摩擦の期待分が剥がれ落ちると考えれば、昨年末~今年1月にかけての暴落には届かないと考えている。

f:id:mikiy666:20190806112913p:plain

米国の経済は好調とはいえ、今後への期待が大きくバフェット指数は150近い数字で推移しており暴落のリスクは常につきまとっていた。

暴騰と暴落は過去から現在まで何度も繰り返されたサイクルであり、長期投資を基本とする米国株ではこれはイレギュラーな事態ではない(トランプ大統領の唐突な発言はイレギュラーだが…)のでVTI等を抱えている人は間違っても狼狽売り等はしないようにしよう(個別株に関しては銘柄によっては損切りも視野に入る)

そして、今回の米中貿易戦争の激化で、FRSは不本意ながら9月に追加の利下げを行う可能性が高まった。大幅な利下げが実施されれば再び株価は大きく上昇することになる。

このまま株価が低迷した状態で来年までもつれ込むとトランプ大統領の再選は難しくなる為、それまでに何らかの手を打つ可能性が高い。場合によっては9/1の追加関税を撤回する可能性もあるだろう。

直近に発表された7月の雇用統計も良好で、恐らく今回の株価下落は長くは続かず1~2ヶ月以内に回復する公算が高い。

 

リーマンショック級の暴落(NYダウ-50%)を心配する声が一部にあるが、それは考えすぎである。

 

リーマン・ショック

2007年のアメリカ合衆国の住宅バブル崩壊をきっかけとして、サブプライム住宅ローン危機を始め、プライムローン、オークション・レート証券、カードローン関連債券など多分野にわたる資産価格の暴落が起こっていた。
リーマン・ブラザーズは、負債総額約6000億ドル(約64兆円)というアメリカ合衆国の歴上最大の企業倒産により世界連鎖的な信用収縮による金融危機を招いた。

 

このリーマンブラザーズの負債6000億ドル(約64兆円)という金額はカナダやオーストラリアの国家予算にも等しい金額である。

20世紀最大の金融危機と言われるリーマンショックと今回のチャイナショック(むしろトランプショックと言うべきか)を比べるというのは些か大げさというものだ。

リーマンショックの暴落には解決し難い明確な原因があり、今回の件はトランプ大統領のTwitterでの強気な発言がきっかけである。

現状、米国の景気も良好で株価が大幅に下落する要因は不透明感が漂う米中問題以外には見つからない。

極端な話、習近平とトランプがお互い我慢できずに「関税やーめた!」と言えば終わってしまう問題だからだ。

 

米国株はいつが買いか?

今の株価大幅下落はこれから米国株を買おうと考えている人にとっては絶好のチャンスかもしれない。

この下落は米国の低迷ではなく米中貿易摩擦によるものであり、米国の株価はこの問題によって上値をずっと抑えられている状態になっている。

トランプ大統領が米中貿易問題の前進を匂わせる発言で株価が上がり、後退させるような発言では株価が下がるというサイクルを繰り返している。

そのため米中貿易摩擦が終われば一気に株価は回復し、さらに最高値を更新することになることが予想される(これが中々解決しないわけだが…)

現在、最高値から6%程の下落で今年最も大きい下落幅だが、まだこの後も下落する可能性はあるので底値だと思って慌てて買い注文を入れないように慎重に見極める姿勢が重要だ。買うにしても少しづつ注文を入れるようにしよう。

今が絶好の買い場であることは間違いないが、底を見極めることはプロでも難しいとされている。底だと思って買った場所が底ではなく開始早々含み損でストレスを抱えるということにならないためにも見極めは慎重に!そして、買い増しは少しづつが基本だ。

mymedia.hatenablog.jp

 

しばらく円高が続きそう!?

世界経済への先行きの不透明さから全世界株安と同時に安全資産である円買いが加速、8月以降じわじわと円高が続いている。日本での利下げや消費税増税、新たなトランプ砲等のアクションが無い限りはこの傾向はしばらく続きそうだ。

円高は日本の輸出に影響を与え貿易にはあまり良くないことだと考えられているが、これから米国への投資を始めようという方には円高ドル安というのは非常にありがたい。今の時期から少しづつ円からドル転をし準備だけしておくというのもアリだろう。

 

世界経済に影を落とすトランプリスク

率直に言ってトランプ大統領は○鹿である。

来年の大統領選に向け株価を上げ当選確率を上げたいという狙いがあるのだろう。景気後退を警戒した予防的側面の強い利下げで明らかに過剰である0.5pを執拗に要求し、それが実現されないと「FRBのパウエル議長には落胆した」というツイートを行った。

f:id:mikiy666:20190816160301p:plain

政策金利の利下げには副作用があり、当然下げ幅には限度があるので何度も行えるものではない。景気をブーストする利下げというカードは出来れば後に残しておきたいというのは当然であり賢明な判断である。カードを使い切れば、今後訪れるかもしれない本格的な景気後退が起きた時に成す術が無くなってしまうからだ。パウエル議長はトランプの圧力に負けず正しい選択をしたと言える。

トランプ大統領はそんな事は考えずに(或いは国益を毀損してでも株価を上げたい狙いがあったか)大幅な利下げを要求したわけだ。成長著しいアメリカ経済の現状を考えれば0.5は明らかに過剰であるにも関わらず!

しかし、あれだけ株価の上昇に躍起になっていたトランプ大統領は、その数日後に中国に対して関税を追加するという発言を行い株価を大きく下落させた。

結局、今回の件で8/5日現在の株価は1年前の水準に戻ってしまった。米中貿易摩擦が一段落するという期待で上がっていた株価が剥がれ落ち、ふりだしに戻ったわけだ。

つまりトランプ大統領は、自ら直近の利下げを全く無意味なものにしただけなく、これまで時間をかけやってきた米中交渉の全てを無意味にしまったのである。

このような危険な人物がアメリカという超大国の手綱を握っているリスクを考えると、トランプ大統領在任中はキャッシュを多めに持っておくことが今は賢い選択かもしれない。