政府が年金の運用で大きく損害を出したと批判する記事をたまたま目にしたので、今回はこれについてお話します。
国民から徴収した年金はただ預金しているわけではなく、投資等で運用されています。
年金の運用を行うGPIFは2014年10月から年金運用のポートフォリオを大きく変更しました。
債権の割合を大きく減らし株式割合を増やすことでリスクを負う代わりにリターンを増やしたわけですね。
このポートフォリオは安倍内閣の意向で変更されたと言われていますが、個人的には良かったと思います。
だって、国内債券をこんなに持っててもしょうがないでしょ…。
ここまで慎重なポートフォリオを組む国は世界で日本くらいのものでしょう。
まぁ、変更後も日本の経済規模などを考えると、ちょっと外国株式に対して国内株式の割合が多すぎるんじゃないかと思いますが。
日本株式の割合が多い理由として、日経平均を買い支えたいという政権の意図もあるのではないかと個人的に思っています。
アベノミクスで5年ほど株価は大きく上昇しましたが、ここ最近はトランプ大統領と習近平国家主席の喧嘩のおかげで世界全体の株価は停滞しています。建国以来ずっと好調なNY株式市場に比べ成長性に乏しい日本の株式市場はパッとせず、長期投資に向かないと投資家に思われがちなので、何とかしなきゃいけないという思いがあるんでしょう。
好調だった米国の株価もここ2年は貿易戦争でヨコヨコの状態が続いていますが…。
米中貿易戦争はまだ長引きそうですし、トランプ大統領がツイッターで吠える度に世界中の株価がクラッシュするので、当面はこういう状況は続くと思います。
株価の低迷が続くということで、しばらくは年金の運用成績もパッとしないものになりそうです。
年金の運用は果たして失敗しているのか
当時の野党、とりわけ民進党は年金損失5兆円追求チームを立ち上げ政府の年金運用の損失について厳しく追求を行いました。
しかし、第2半期に5兆円の損失を出したことが何だというのでしょうか。
私には何が問題か理解が出来ませんでした。
これが2018年までの年金の運用報告です。
GPIFのサイトを見る限りトータルではプラスになっており、運用が失敗しているようには見えません。
当時の年金の損失を批判していた人たちは2015年の部分だけを取り上げて騒ぎ立てました。
しかし、2016年に再び大きく黒字に傾くとその声は小さくなり年金損失5兆円追求チームはいつのまにか無くなってしまいました。
それ以降も年金運用で損失が出る度に一部の金融リテラシーのない人達が野党の扇動やゴシップ誌の記事に踊らされて怒り狂っています。
このブログでも繰り返し述べていますが、投資と投機は違います。
年金の運用とは長期的視野で行うものであり、短期間の運用成績に意味はありません。
かの著名な米国投資家ウォーレン・バフェット氏も孫正義氏も短いスパンで見れば度々損失を出しています。
投資とは、長期で行うことが前提であり、長い目で見て成長発展が見込める対象にお金を投資していくもので、短期的に損失が出るというのはごく当たり前のことです。
世界的な金融危機では企業のファンダメンタルに関係なく株価は暴落、低迷しその中で利益を出すということは難しくなります。景気拡大が永遠に続くことはなく、常に循環し不景気はサイクルとして必ず訪れます。
右肩上がりと言われるアメリカ合衆国の平均株価も10年周期で暴落と高騰を繰り返しています。
重要なのは、何十年という長期で見て成長が見込めるかという部分であり、今年損した得したと騒ぐことがナンセンスなわけですね。
今でも残念ながら間違った情報を人々に伝えるメディアが存在し、それらのデマに踊らされてしまう人が居ます。
知らないことは恥ではありません。しかし、知ろうとしない姿勢は恥です。
こうした情報を正しく伝えていない自称経済誌は読む価値がないので、自分の為にもっと価値のあるものに投資しましょう。