投資と哲学

Re:損から始まる投資生活

日経平均に期待をするのは危険!初心者が日本株に手を出すべきではない理由

最近では米国株のインデックス投資が流行っているが、リスク分散の為に日本の株も持っておこうと考える方も多いのではないだろうか。より多くの銘柄に投資したほうがリスクが分散されるからだ。

投資家の中には米国と日本半々で持つことを勧めている方も居ると聞く。

しかし、その考えは本当に正しいだろうか。

 

 まずは、以下のグラフを見て頂きたい。

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過去二十年の日経平均株価

これは過去20年の日経平均の推移である。

見て分かる通り、全く上がってないどころか少し下がっている。日本の経済はバブル崩壊のショックをずっと引きずってしまっていて10年以上もデフレが続くという異常な状況になっていることがわかる。

ここ数年はアベノミクスの影響で日経平均も大きく上がったが、直近の一年では米中貿易摩擦の影響等もあり横ばいでやや息切れ気味だ。2019年10月には消費増税も控えている。

 

次に日経平均との比較として米国の過去の平均株価の推移を見てみよう。

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過去30年のダウ平均株価の推移

2009年のリーマンショックで大きく下がってはいるが、数年で回復しそこから大きく伸ばしている。全体としてみると、株価は一貫して右肩上がりになっていることがわかる。

 

次に日経平均とNYダウの推移を比較してみよう。

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カネツFX証券株式会社より抜粋

2000年以降の値動きに注目して欲しい。

日経平均はダウ平均株価と連動していてNYダウが暴落すると日経平均も暴落し、NYダウが高騰すると日経平均も高騰するというサイクルになっている。

このことから、結局は日本株に投資してもリスクを分散することは出来ないのである。

それならば、よりパフォーマンスが高く値上がり幅の大きいNYダウ(或いはナスダックにも)一本に投資したほうが効率的ではないだろうか。

mymedia.hatenablog.jp

 

次に日本経済の今後の見通しについて考えてみよう。

個人的な予想では、日本の経済はこれからも緩やかに成長はしていくが、大きく伸びることはないと考えている。

 

今後、日本が大きな経済成長は見込めないと考えられる理由

  1. 誰もがご存知だと思うが、2009年頃から日本の人口は減少し、少子高齢化が他の先進諸国と比較しても特に深刻である。2019年の現在も解決の糸口が見えてこない。基本的に労働人口とGDPは比例するので技術革新による産業の効率化を考慮しても緩やかにしか上がっていかないと考えられる。人口減少により内需が冷え込み国内がメインの企業は業績が落ち込むことが予想される。
  2. 日本はまだ高い技術力を持つメーカーが多数存在しており工業分野では一流の国家と言えるが、中国や韓国等の他の国との差は確実に縮まってきており、国際競争力は少しづつ落ちている。日本の強みである自動車産業も今後は電気自動車の普及が予想され先行きの分からない状況だ。
  3. GDP成長率がG7中最下位。

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    世界経済のネタ帳より抜粋

    G20の中で比較しても17位という状況である。

  4. 日本の労働生産性は低い。

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出典元『公共財団法人 日本生産性本部』労働生産性の国際比較 2017 年版

日本の時間当たり労働生産性は、46.0ドル(4,694円/購買力平価(PPP)換算)。順位はOECD加盟35カ国中20位(2016年)

就業者1人当たりでみた2016年の日本の労働生産性は、81,777ドル(834万円/購買力平価(PPP)換算)。順位は、OECD加盟35カ国中21位となっている。
就業1時間当たりと同様、就業者1人当たりでみても、主要先進7カ国で最も低い水準となっている。

日本の労働生産性の低さの原因として、一億総中流と言われる社会資本主義的な経済システム、年功序列や終身雇用といった給与形態、無駄な残業等様々な要因が指摘されているが、はっきりとした原因は分かっていない。

 

日本企業は100株単位でしか買えない

実は日本では100円の株を100円から買うことはできない。

単元株制度といって、どの企業の株も100株単位でしか購入できないのだ。

ヤマダ電機のような1株が500円くらいであれば5万円から購入可能だが、任天堂のような企業になると株価は1株当たり4万円を超えるので最低でも400万円以上用意しなければ買うことが出来ない。

これでは、自由に銘柄を選べないし資産家でなければ分散投資が出来ない。

米国株は1株単位から買うことが出来るので、数百円~数千円からでも買うことが出来、ポートフォリオを組む上で重要なリスクの分散が容易である。

ただし、ETF・投資信託でインデックスファンドを買う場合はこの問題は無視して構わない。

 

おまけ《地理的リスク》

最後に日本の地理的なリスクについて説明する。

2011年に発生した東日本大震災によって日経平均は大きく下落した。もし、これが東京で起きれば、その時以上の株価の下落が起こることが予想される。

現在の自然科学では、地震をプレートテクトニクスという説で説明している。地球では複数のプレートがマントル(プレートの下にある層)の対流によってお互いわずかに動いている。

日本列島周辺では太平洋側のプレートが大陸側のプレートの下に沈み込むようにして動いており、同時に大陸側のプレートを地下へ引きずり込んでいく。

大陸側のプレートが沈み込みに耐えられなくなり、跳ね上げられるように起こるものが日本列島で起こる地震である。

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気象庁のHPより抜粋

その構造上、日本では大震災が一定周期で起こることが宿命づけられており、その時期は現在の科学では予想をすることが出来ない。

関東大震災の発生から100年近く経っており、21世紀中に関東を震源地とした大地震が起こるのではないかと言われている。

発生時期は1年後か、10年後か、はたまた200年後かは分からない。しかし、大震災はいつか必ずやってくる。それが自分の生きている間かもしれないということは頭に入れておこう。

 

以上のことから、日本株に分散投資をしたとしても米国株に勝てる見込みは低く、長期でマイナスになる場合もありリスクに対してのリターンが低い。

勿論、個々の企業で見た場合に急成長している銘柄もあるのでそういった株を上手く買っていけば資産を増やすことが可能であるが、非常に高いスキルと経験が必要になる。

日本株は総じて短期~中期投資向けであり、初心者にお勧めできない理由である。

結論としては、米国のような経済や政治の安定した成長国に投資を行いその経済成長の恩恵に預かるというのが資産を最も効率よく安全に増やす方法であると言える。